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たまに増える雑記

ガジェットとか鉄道関係で書きたいことができたら書きます

情報系学生が目指す国家公務員総合職#3(筆記試験編)

はじめに

色々落ち着いたところで、平成29年度の試験も近づいてきたので連載再開です。ツイートを見ていた人の中には「そういえば修士中退しても大丈夫なの?」と思う方もいるかもしれません。詳しいことについてここで述べるつもりはありませんが、「無事だった」とだけ言っておきます。学部卒で就職する予定の人で「単位が足りなかった」「卒論を提出しなかった」などの場合はどうしようもないので気をつけてくださいね(このケースで翌年も就活して無事クリアしたという人は割とよく聞きますが…)!

さて、前回は試験の申し込みまでを紹介したので、今度はその次の筆記試験について解説します。引き続き、工学区分の試験を受ける前提で話を進めます。

1次試験

1次試験は、マークシートによる多肢選択式です。試験区分によって異なる専門試験(今回は工学)と、全試験区分共通の基礎能力試験から成ります。試験時間と問題数は、次の通りです。

  • 大卒程度試験
    • 専門試験: 9:00 - 12:50 (正味3時間30分)、40問
    • 基礎能力試験: 13:45 - 17:00(正味3時間)、40問
  • 院卒者試験
    • 専門試験: 9:00 - 12:50 (正味3時間30分)、40問
    • 基礎能力試験: 14:25 - 17:00 (正味2時間20分)、30問

問題配布・解答用紙回収などの時間の分、正味の解答時間より多めに時間枠が取られています。見て分かる通り、専門試験は大卒・院卒で全く同じです。基礎能力試験は、大卒の40問のうち10問を削除したものが院卒向けに出題されます。

専門試験

専門試験は、必須問題(工学に関する基礎、20問)と選択問題(20問)から構成されています。問題のレベルは、高校から大学にかけての基礎を復習しておけば十分対応できる程度のもので、7割程度の得点は確保したいところです。自信がある人はノー勉でもいけると思いますが、心配な人でも2, 3ヶ月前から勉強を始めておけば十分です。

必須問題は、概ね高校レベルの数学・物理で構成されています。

選択問題は29科目から4-6科目(20-30問)を選択し、さらにそのうちの任意の20問を解答します。科目の一覧は以下の通りです。

  1. 技術論
  2. 基礎化学
  3. 工学基礎実験
  4. 情報基礎
  5. 電気工学
  6. 電磁気学
  7. 材料力学[機械系]
  8. 流体力学[機械系]
  9. 構造力学(土木)・土木材料・土木施工
  10. 土質力学水理学
  11. 環境工学(土木)・衛生工学
  12. 構造力学(建築)
  13. 建築構造・建築材料・建築施工
  14. 計測工学・制御工学
  15. 情報工学(ハードウェア)
  16. 情報工学(ソフトウェア)
  17. 電子工学
  18. 通信工学
  19. 機械力学
  20. 熱力学・熱機関[機械系]
  21. 土木計画
  22. 建築計画・建築法規・建築設備
  23. 建築史・都市計画
  24. 材料工学(材料科学)
  25. 材料工学(金属材料・無機材料)
  26. 原子力工学原子核放射線
  27. 原子力工学(原子炉・核燃料サイクル
  28. 船舶海洋工学(流体)
  29. 船舶海洋工学(構造)

基本的には自分が大学で勉強していた分野の科目を選択することになります。仮に1科目の問題の中で得意不得意があっても、科目数の条件を満たしている限りは他の科目に逃げることも可能です。例えば、次のようなパターンが考えられます。

  • 電気系・情報系の勉強をしっかりやってきたデバイス系の学生が、情報基礎(4)、電気工学(5)、電磁気学(6)、電子工学(17)を選択して20問全て解答する。保険として情報工学(15, 16)も頭に入れておく。
  • 「電気系のもぐり」で強電系があまり分からない情報系の学生が、情報基礎(4)、電気工学(5)、電磁気学(6)、情報工学(15, 16)を選択する。加えて大学受験の知識を頼りに基礎化学(2)か工学基礎実験(3)のいずれかを選択する。

基礎能力試験

基礎能力試験は、俗に教養試験とも呼ばれるもの。形式は民間就活で利用されるWebテストやSPIに近いものですが、難易度はそれらより高めです。よっぽど要領の良い人でないと時間内に全問解答するのは難しいと思います。半分も得点できれば十分です。基礎能力試験よりは専門試験の方を確実に得点できるように重点的に対策しましょう。

問題構成は以下の通り。院卒では、数的処理・資料の読み取り・時事問題以外の分野で一部の問題が削除されていることがわかります。

分野 問題数(大卒) 問題数(院卒)
国語 4 3
英語 7 5
数的処理 14 14
資料の読み取り 2 2
時事問題 3 3
理科 3 1
社会 7 2

各分野の傾向と対策を紹介します。

  • 国語・英語: いずれも読解・乱文整序・空欄補充の問題が含まれます。論理を見抜き、文章中に書かれていることに忠実に従うほかないでしょう。選択肢に迷ってしまった場合は、悩まずに何か1つを選んで先に進みましょう。
  • 数的処理: 前半は判断推理の問題です。難易度が高く相当の時間を要するので後回しにしましょう。時間が足らなくなってしまったら当てずっぽうに埋めてしまっても構いません。後半には図形・確率の問題や方程式さえ立てれば解ける問題があるので、こちらをしっかり得点できるようにしましょう(それでも難しい方ですが)。
  • 資料の読み取り: 数字が膨大で読み切れないかもしれませんが、できるだけ練習して慣れましょう。こちらも悩んでしまったら適当に選んでください。
  • 時事問題・理科・社会: 本番で何が出るかも分からないので、ここを対策するのはあまりお薦めしません。高校の選択科目の程度の知識でも、中学受験の知識(古すぎるか)でも大丈夫です。分からなければフィーリングで選びましょう。ただ、物理の問題は計算問題ですので、できれば正解したいところです。

2次試験

2次試験は、記述式の筆記試験と人物試験(院卒はさらに政策課題討議試験)から構成されます。ここでは筆記試験のみ取り上げ、人物試験については次の記事に回します。試験時間は次の通りです。

  • 大卒程度試験: 8:50 - 17:20
    • 性格検査: 正味15分
    • 専門試験: 正味3時間30分
    • 政策論文試験: 正味2時間
  • 院卒者試験: 8:50 - 13:20
    • 性格検査: 正味15分
    • 専門試験: 正味3時間30分

実際には本題の試験の前に性格診断があるので、試験終了までの時間が多めに取られています。性格診断は精神科の問診のようなもので、人物試験の参考にするらしいです。民間と同じですね。「毎日のように死にたいと思う」「何事にも気力を感じない」といった設問に「はい」と答えなければ、大丈夫でしょう。

専門試験

専門試験は院試の問題に近いと思ってよいです。1次試験対策をしながら基礎を固め、時々2次試験の問題を解いてみるとよいでしょう。1次試験が終わったら、1次試験の合格発表を待たずに早目に2次試験の対策に入ってください。

2次試験では必須問題はなく、全て選択問題です。科目は1次試験とは異なる部分があり、選択する問題によっても解答方法が変わります(I, II)。I, II間の変更は試験開始後1時間以内で1回のみ認められます。

  • いずれか1科目のみを選んで解答(I): 科目1, 2
  • 任意の2科目を選んで解答(II): 科目3-29

科目名は以下の通りです。

  1. 建築設計
  2. 都市設計
  3. 計測工学
  4. 制御工学 A, B
  5. 情報工学(ハードウェア) A, B
  6. 情報工学(ソフトウェア) A, B
  7. 電磁気学・電気回路
  8. 電気機器
  9. 電力工学
  10. 電子工学
  11. 通信工学
  12. 信頼性工学
  13. 材料力学[機械系]
  14. 機械力学
  15. 流体力学[機械系]
  16. 熱力学・熱機関[機械系]
  17. 航空工学
  18. 構造力学(土木)
  19. 土質力学
  20. 水理学
  21. 土木計画 A, B, C
  22. 環境工学(土木)・衛生工学 A, B
  23. 材料工学(材料科学) A, B
  24. 材料工学(金属材料)
  25. 材料工学(無機材料)
  26. 原子力工学原子核放射線
  27. 原子力工学(原子炉・核燃料サイクル) A, B
  28. 船舶海洋工学(流体) A, B
  29. 船舶海洋工学(構造) A, B

科目名の後にアルファベットを記載しているものがありますが、これは選択問題の番号です。2, 3問ある中で1問を選択して解答します。本番で問題を見比べて解けそうだと思ったのを選ぶのもよいですし、出題範囲が決まっている科目ならば1つの問題に照準を絞って対策しておくのもよいでしょう。

電気系・情報系として選択できそうな科目は、制御工学(4)、情報工学(5, 6)、電磁気学・電気回路(7)、電気機器(8)、電力工学(9)、電子工学(10)、通信工学(11)の辺りでしょうか。各自の得意分野に合わせて選んでください。

また、僕は保険として原子力工学(27B)も対策しました。これは核燃料サイクルに関する問題です。専門の人でないと解けない問題では?と思うかもしれませんが、文章の記述がベースの問題であり、出題されやすい問題もある程度わかるので、ひたすら暗記すれば攻略可能です。決定打となる科目を見つけられない人にとっては勉強してみる価値があるかもしれません(平成28年度で今まで全く出題されていない核燃料の問題が出たのであえなく撤退しましたがね!そういうリスクも考えておきましょう!この時はたまたま易しかったソフトウェアに逃げました)。

分かる範囲で科目ごとの対策を書いておきます。

  • 情報工学(ハードウェア)(5): 年度によって難易度差が激しい科目です。学部レベルの論理回路の勉強(これとか、これ)をしっかりしていれば解けそうな問題が出ることもあれば、プロセッサの研究をしていないと知らなさそうな問題まで、出題の幅は広くなっています。本番で解きやすい問題が出たらラッキー程度に思っておいて、知らない用語を見たら撤退するという方針が安全かと思います。
  • 情報工学(ソフトウェア)(6): こちらも出題範囲が広く、何が出るかが分かりません。ソースコードの穴埋めをするタイプの問題はよく出題されますが、その題材は様々です(二分探索木、最長共通部分列問題、Nクイーン問題、数値計算など)。しかし、ごくたまにソースコードの問題すら出題されないことがあり、リスクを抱えています。他に出たことがある問題としては、ソフトウェアの品質管理、暗号技術、電子メール、論理、オートマトンなどなど…。解ける問題があったら解く感じでいいと思いますが、ハードウェアよりは希望を持ちやすいのではないかなと。
  • 電磁気学・電気回路(7): よくある導体球殻、コイル、コンデンサ、RLC回路、四端子網あたりの問題で安心感のある出題です。アンペールの法則やガウスの法則、鳳-テブナンの定理などをしっかり使えるようにしておけば問題ありません。突如として三相交流が出ることもありますが。
  • 通信工学(11): こちらも出題範囲は広めです。情報源や自己相関関数の問題は比較的やりやすいかと思いますが、モバイルネットワークの問題が出されると取っ付きにくいです。

そして全く意味が分からないのが、TCP/IPの問題がハードウェアでもソフトウェアでも通信工学でも出題されているんですよ。まあ出題頻度は本当にたまにという感じなので、あまり当てにしない方がいいでしょう。

ちなみに環境工学(22)も暗記科目に近い気がするのですが、どうなんでしょうか。誰か試した人はいないでしょうかね…。

政策論文試験

政策に関するたった1行程度のアバウトな設問とともに、資料が3つ(平成27年度の場合)提示されます。資料は日本語だったり英語だったり、文章だったり図表だったりします。設問があまりにも短文なので、資料に書いてある中からそれらしいことを適宜使っていくことになります。論理構成を組み立て、正しい日本語を使えていればそれなりに点はくるはずなので、日本語によほど自信のない人でなければ対策は不要かと思います。僕も無対策でしたが10点満点中9点でした。

まとめ

少なくとも、筆記試験に関してはある程度対策すれば問題なくクリアできることはお分かりいただけたでしょうか。設問は難しいものが含まれているかもしれませんが、超えなくてはならないハードルはそこまで高くありません。大学の勉強の復習だけはしっかりしておきましょう。

次回は人物試験・政策課題討議試験について紹介します。